10 諸手本趣 

A 諸手本趣 について

花巻市博物館所蔵

筆者名 八重樫豊沢

八重樫豊沢はいわゆる花巻3画人の一人。宝暦13年(1763年)に花巻で寺子屋を営んでいる善兵衛の子として生まれる。天保13年(1843年)に没した。墓は瑞興寺にある。絵は始、小野寺周徳に学んだ。谷文晁、菅井梅関等とも交流があったらしい。橋本雪蕉は門人。南部藩家老の花輪伊豆も豊沢に教えをうけたらしい。(「花巻の三画人」花巻市教育委員会編 による)

注 花巻の3画人は他に小野寺周徳、橋本雪蕉

 

テキストの内容

  豊沢が知人から、習字の手本を頼まれて用意した物らしいが、詳細は不明。従って、歴史的事実は記載されてはいない。解読のテキストとして採用した。豊沢の絵は道釈画で漢画風のものがほとんど(前掲書94頁)らしい。そのような彼の嗜好のせいか、文例は漢詩や有名な和歌等からとったとおもわれるものもある。今回テキストの提供を受ける際にお世話になった市博物館の小原茂学芸員によると、室町時代の手紙の手本から取ったところもあるのではないかとのこと。なお、解読のテキストの校正を同氏にお願いしました。感謝いたします。

注 道釈画
道教や仏教に関係のある人物画。主に、神仙や仏教の羅漢・観音などを画題とする。日本では鎌倉・室町時代に盛行。道釈人物画。

参考 豊沢の作品のひとつのコピーを左に示す。(前掲書78頁)

 (図のコピー省略)

    

B  本文

御手本

 

 

諸手本趣

 

(天保6年 八重樫 豊澤 73歳)

 

豊澤 七十三書(角印)

 

時鳥之発句殊勝候

従是腋第三仕可

 

進覧候猶斯面上之

節候恐々謹言

 

尊道之御手本

久々抑留仕千萬

 

忝次第存候則

為持致返弁申候

 

御落手可被下候

近日伺公御礼可

 

申謝候

 

月日

 

公家衆短冊之

事被仰越候鴈丸

 

殿坊城殿先二筆

進献之候恐々謹言

 

徒然之餘綴一設候

無御座意可被加

 

慈削候受他見

愧入申候猶黄昏

 

遂参萬縷可得

御意候

 

月日

 

閑庭之牡丹得

其盛紅白交艶

 

色誠表福貴相候

尤賞愛之事候

恐々不備

 

清撰之詩人御

招請有之由茶

 

酒任所在進献

仕候心諸斯拝顔候

 

月日

 

八朔御進献之御馬

牽替共道中無恙

去月廿二日到着候由

可被得其意候

 

月日

 

珍鋪鮮魚一尾

饋給御懇志不浅   (おくる)

 

唯松江之鱸可致 (上海から30k西南の町) 
庖丁候    (すずきーはぜに似た魚)

 

 

芳翰令披見候

去頃参府訴訟

 

之儀裁断之上

理運被 仰付

 

下知状之通之忝

被存候由承届候

 

各相談可及

台聴候

 

従轉法輪殿御書

致拝見候今度

 

御家領新 加被

遣之御満悦之由

 

承届候為御礼詣

可為御参府候先以

 

入江和泉守薫衣

帛五被差進候披露

之處

御前へ召出被入

 

御念候之段 御喜

色之御事候此旨

可有洩達候

 

月日

 

尓来ハ給書仰候

弥無御障可被成御

 

務と珍重之御事

奉存候将又任め(カ)一本

 

平魚一折令進入之候

近日可遂参候

 

月日

 

義陽洞裏   (中国の地名か)

秋壇上

今夜清光

此處両

 

春来テ遍

桃花水

不評仙源

何處尋

 

春たつといふ (「和歌九品」 1)

はかりにや

 

みよしのの山も

かすみて今朝ハ

 

見遊らん  (壬生忠岑 拾遺集巻頭

 

此たびは

 ぬさも

取あへず

手向山

 もみちの

にしき

 神の

まに 〃〃  (菅原道真 古今集)

 

ほの〃〃と  (「和歌九品」 2)

 明石の

  うらの

あさきりに

  しま

 かくれ行

   船

お しそ

  思ふ    (柿本人麻呂か)

 

いつみても

月みの秋に

あらねとも

花みて

暮らす

はるぞ

すく

なき

 

 

 

 無邪

 

   二子村川畑正念

 

     鈴木葉留喜智

 

 

  (これ以下は豊澤が書いたか不明)

 

南部三拾八代国主    

源利済公

 

 黒沢尻南御蔵

 此度御建直御手入   (1828年)

 御普請文政十一戊子  (つちのえね)

 三月十六日吉辰ニ付

 御取附御普請


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