(再び発信)20

岩手におけるラベル制度運用の推移を見る

平成13年10月22日


スタート時点からの誤解
 ラベル制度は、全国統一的運用の必要があるとして、(財)日本消防設備安全センター内に設置された「消防用設備点検制度検討委員会」で策定された「表示制度推進要綱」主導でスタートさせたのでありますが、全国すべての協会が“参加”したわけでもなく、現在も一部の協会では実施されていないようであります。
  もともと、法律的根拠のない制度でありますから、強制されるものでもなく、関係者(主に防火対象物および点検業者)の十分な理解と協力がないままのスタートでありましたから、各地で誤解による“混乱”が伝えられました。

岩手では上意下達的に急いでスタート
  法的根拠のないものを、当時の行政(県の担当者)も関与する形で、岩手県防災保安協会が主導して、平成9年4月から(全国的に見て2年早く)のスタートは、強引としか形容できない手法でありました。
その上、防火対象物側に誤解を与えかねない一部点検業者に対する差別的行為等、当初から協会と業者間でトラブルが発生したことは関係者の知るところであります。

関係者に文書を配布
  私は「この制度なるもの」との表現で問題点を指摘し、特に岩手における推進方法に疑念を抱き、抜本的改善を訴えて、平成10年1月から平成11年5月までの1年半、延べ25通の文書を各方面関係者の皆様に配布させていただきました。
(平成12年5月にはインターネットのホームページに16通分を掲載。全国の関係者から反響がありました。)


役所が動く→法的根拠なしを確認
  その後、表示制度の運用実態等推移を見守ってまいりましたが、平成12年9月、当時の消防庁予防課長から各都道府県に対して「この制度は、民間の自主的制度である旨を改めて申し添える。市町村に対して、その旨周知徹底を図られたい。」との通知が出されました。
  これは、当時の総務庁行革本部、規制改革委員会から『この表示制度が、消防法令に基づく制度であるかのように誤解されている向きがあるので、当該制度が民間の自主的制度であることを改めて明確にすべきである。』と指摘された事を受けて出されたものであります。岩手県では、平成12年10月13日付けで県内の市町村へ発送されております。


私の言動にも関係者は沈黙
  私が声を出し、行動(消防庁予防課へ照会、又は(財)日本消防設備安全センター担当課長と面談など)し、働きかけても積極的な同調や激励はありませんでしたが、反論する声も皆無でありました。
  反論が無いということは、概ね、ご理解をいただいたものと、そして消極的応援でもあると受け止めておりましたが、岩手県内の関係者、特に同業者の皆さんはラベルについてどのように考え今後どのように対応されるのか、改めて問いたいと思っております。


組合でも11月からラベルを販売予定
  平成13年になって、岩手県消防防災設備協同組合(平成9年4月設立)が組合独自のラベルを作成、販売を準備中とのこと。協会よりも価格を安く設定し、点検業者に購入を呼びかけております。
協会と組合が対立する形で、ラベルの“販売合戦”が行なわれるとすれば、利用する点検業者にとっては当面、都合が良いことではありますが、協会の登録会員であり、又同時に組合員でもある点検業者の困惑ぶりが予想されます。


ラベル貼布の目的は誰のものか
  『適切な点検が行なわれるために』と、ラベル制度にうたわれている精神とか目的は、それなりに理解できますが、それ以上に実は、“ラベルの販売元”が経営上の収入源として“利用”している面があることは、もはや疑いの余地はありません。
  私の持論は、ラベルを貼布するかしないかは、点検業者各社の考え方であり、誠実に仕事(適切な点検)を行なっておれば、どうでもよいことなのであります。
しかし今の世の中、一定の基準とか範囲の中で評価されることもありますので、“ラベル制度”のもつ意義を100%否定するものではありません。
各社独自のデザインが統一されたラベルは、たしかに点検業界が社会的に信頼されることの要因のひとつにはなるでしょう。
  しかし、発行元が複数になることにより、防火対象物関係者がこの業界をどのような目で見るのでありましょうか?


点検業界の健全な発展のために
  ラベルの販売合戦よりも、点検業者個々の「モラル向上」のために、協会と組合は何を為すべきか考えるべきであります。
ラベル販売は一時的手段であり、それが目的ではないはずです。
今後も“ラベル販売が目的”であるなら、私は再度、モノを言わせていただくことになるだろうと思っております。


●当社では独自のラベルを使用
  私共は創業当初から23年間、独自のラベルを作成し、使用しております。
  もちろん、賠償責任保険にも加入しておりますので、協会の登録会員にはなっておりません。
  いわゆる総括表等での書類の簡素化が出来るとされていることについても、当初から、従来通りの点検票等で業務を遂行しております。
(書類の簡素化等は、消防長又は消防署長が認めた場合のみ可能であって、登録・非登録は問われません。この辺が、関係者の大きな誤解でした。)

(有)岩手防火管理サービス
代表取締役 菊池 巖

025−0312 花巻市二枚橋6−401−1
Tel (0198)−26−4575 Fax (0198)26−2526


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